9 救難訓練
食事や飲み物は自動販売機で代用可能は可能ですし、免税品は圧倒的にスペースの大きい空港の店の方が充実しているに決まってます。もし航空会社が客室乗務員と言う職種を廃止したら、浮いた人件費で運賃を安くする事が出来るでしょう。特に短いフライトなら自前のお弁当で良いから安い方が嬉しいと言う方も多いのではないでしょうか。でも福岡ー釜山の20分のフライトにも必ず複数のCAが乗務しています。
CAの対旅客サービスの多くを、ひとまず機械で行う事が出来るでしょう。しかし、機械で代用できない事があるんです!
緊急事態を頂点とした種々のトラブルに対処する事です。
そうです、CAは第一義的には、緊急事態に乗客の安全を確保するために乗務しているのです。機種別に保安要員としての最低乗務員数が決められていて、それを下回って飛行機を飛ばす事は出来ないのです。
飛行機事故は離着陸時が圧倒的に多く、その場合突発的です。マニュアルを探したり、機長やチーフの指示を待つ時間など無い事が殆どです。ですから新人であっても瞬時に自分の判断で行動しなければならないし、そこに大勢の方々の命がかかっているのです。
「ある日のフライト」の次にはこのテーマで書こうと準備していましたら、たまたま中華航空の事故です。
ニュースでも「90秒で全員脱出」と言っていましたが、着陸してターミナル前まで来て、誰もが無事到着!と、ほっとした瞬間の出来事です。各ドア担当のCAの一瞬の的確な判断と、パニックになりながらも先を奪い合わなかった乗客の皆さんの連携プレーの勝利でしょう。ちょうど翼(つまり燃料タンクとエンジンがあり、一番火の出易いところ)の上にも非常口がありますが、これを開けなかった事も正解でした。(この非常口は火の手の上がらない事が確認されている、不時着水の場合などに有効なのです)
前置きが長くなりましたが、今日のテーマは救難訓練です。
全ての航空会社が、乗員の救難訓練に多くのエネルギーを注いでいると信じていますが…
これだけは、実際に何度も経験して技量を磨くなんて言うことが出来ませんから。
各社知恵を絞っている様ですが、私達の場合には、一人前になってからも毎年二回訓練とチェックを受ける事が義務付けられていました。もちろんとても厳しいものです。講義の後、たくさんある実際の緊急機材を使って、各自が正しく作動させられるかチェックされます。そして仕上げは緊急着陸と着水のシュミレーションです。飛行機と同じに作った部屋で教官から与えられられた設定に基づいて、全員が地上または海に見立てたプールに脱出して無事機体から離れるまでを、与えられた時間内に正しく行わなければならないのです。爆発音や煙まで出ますから臨場感満点で、訓練と解っていてもいつも心臓がドキドキします。
そして毎回のフライトでも出発前に確認がなされます。
フライトの安全を真剣に考える会社は、利用しないで済むのが最も望ましい事である緊急機材や訓練に多大な費用と時間をかけるのです。
私がスチュワーデスを辞めた時、「これで救難訓練から解放された!」と思ったら本当に心が楽になったのを覚えてます。
普通、航空会社の宣伝に登場するのはニコニコと優しそうなスチュワーデスに、冷静で凛々しそうなパイロットですね。でも私は航空会社で最も重要な職種を一つ挙げろと言われれば、それは整備士ではないかと思うのです。乗員はこのように訓練を受けますが、訓練の成果を永遠に示すチャンスが無い航空会社が、最も良い会社ですよね。それには飛行機が設計段階から完璧に作られている事はもちろんですが、エアラインに引き渡されたあとのメンテナンスは整備士の出番です。乗員・乗客は、何事も無いときには表面に出ることの少ない彼らに命を託しているとも言えるのです。
それにしても、今回の事故ですが、今後同じような事故の発生を防ぐために、原因が正しく究明され、有効な対策が立てられる事を切に願うものです。
安全は当たり前の前提ですから宣伝にはならないかも知れませんが、食事より、ゆったりした座席より、安全にかけるエネルギーを競い合う宣伝って無いかしら。
私の夢想
豪華なホテルのような内装、ゆったりと寛げる座席とラウンジ、世界のグルメを
うならせる食事、何くれとない、けれどうるさくなく、さりげないCAのサービスの
≪超ファーストクラス≫ と、食事なし、飲み物なし、新聞・雑誌なし、映画・
オーディオなし、笑顔なし、CAはヘルメットに安全靴、難燃性のトレーナーが制
服の屈強な若者が最低人数居るだけの、≪超安クラス≫ の二通 りを運航している
エアライン。もちろんどちらも安全性は完璧。
こんな二極分化にならないでしょうか?
私が乗るのは後者ですけど…
こちらで激安の航空会社を何度も利用しましたけど、本当に飛行機の整備など大丈夫なのかしら、と思うことがしばしばでした。
CAさんはみなさん大迫力で結構怖い顔もしてて、いかにも緊急時には命令徹底しそうな気がします。
そんな目に遭ったことがないというのは幸せなことですね。
理想は・・・寝台列車の2等みたいな2段または3段ベッドの飛行機になったら良いのにな~なんて思ったりします。
by めぎ (2018-11-03 07:37)
xml_xsl様、nice!を有り難うございます。
by もとこさん。 (2018-11-03 22:04)
めぎ様、確かに、国も飛行機も緊急時には命令徹底は重要ですものね。但し正しい決断をできる人の命令ですけど。
なるほど、三段ベッド良いですね。同じ平面に三席並んでいる今の座席を、立体三段にすればほぼ同じスペースに三人分のベッドが確保できますね。でも食事はどうやって配るのか、寝たまま離着陸か? 起きている時は上二段を畳んで三人掛けのソファーにする?それには就寝起床の時間を三人合わせなければならないし・・・ なんで馬鹿な事考えもしょうがないわね。寝室・バスルーム・会議室付きの専用機を持てるようになりましょう!
by もとこさん。 (2018-11-03 22:17)